「本会設立時会長挨拶」


ひょうごがん患者連絡会 会長(*) 中原武志

注(*) 2010年4月 退任

日本では、ほぼ二人に一人ががんに罹患し、三人に一人ががんで亡くなり、死亡原因の第一位になっています。 高齢者社会が進むにつれ、がんに罹患し亡くなる人はもっと増えるだろうと予測され、がんは国民病とまで言われています。
 こうした現状を踏まえて政府は2006年6月に「がん対策基本法」を制定し、2007年4月にこの制度が発効しました。 政府の「がん対策基本法」制定を受けて各都道府県では「がん対策推進計画」を定めなくてはならないことになりました。
 兵庫県においても「がん対策推進計画」の制定が進められておりましたが、がん患者の意向を充分に汲み取っているとはいえない状況の中で、 がん患者会及びがん患者支援団体は一丸となって県に対して意見を述べるべく「兵庫県がん患者会団体等連絡会」を 14のがん患者会および支援団体と個人によって2007年11月に発足させました。
 「連絡会」は、県の「がん対策推進計画案」に対してパブリックコメントを提出し、 がん対策が、がん患者の側に立って行われるよう要望することを決めました。
 パブリックコメントの提出によっていくつかの修正が行われましたが、 特に「がん対策推進計画」の基本理念の中にがん患者の位置が定められたことは大きな成果と言えるでしょう。
 今後は、県が定めた「がん対策推進計画」がどのように実施されていくのかを見定めながら、県に対して意見を述べると共に、 県と協働しながらがん検診、がん教育の啓発を推し進めていきたいと考えております。
 また、医療機関(がん医療学会をふくむ) やマスコミ各社との連携を視野に入れ、 四本の矢(がん患者、行政、医療機関、マスコミ)の結束によって、がん患者を取り巻く医療環境の進展と拡充および、 がん医療の格段の前進に寄与していきたいと考えております。
 また、行政に頼らず(行政指導型ではなく)、がん患者自らが立ち上がって(市民主導型)、 あらゆるがん問題に取り組む姿勢を持つことが「がん患者の自立」という観点からも大切だと考えています。
 この「連絡会」が、日本のがん医療を大きく変える原点になるように、 連絡会に結集した団体、個人と共に、「がん患者の立場に立ったがん問題解決」に積極的な運動が展開できるような すばらしい会に発展することを願っております。

2008年4月吉日